はまうつぼ (浜靫)

学名  Orobanche coerulescens
日本名  ハマウツボ
科名(日本名)  ハマウツボ科
  日本語別名  
漢名  列當(レツトウ,lièdāng)
科名(漢名)  列當(レツトウ,lièdāng)科
  漢語別名  裂馬嘴、獨根草
英名  Broomrape
辨  ハマウツボ科
   ハマウツボ属


誌 

2023/05/16 小石川植物園 (冷温室)

 ハマウツボ科 Orobanchaceae(列當 lièdāng 科)には、世界に約99-100属 約2060-2100種がある。

  ナンバンギセル属 Aeginetia(野菰屬)

  アメリカウンランモドキ属 Agalinis(箒地黃屬)
南北米洲に45種

  ヒロハゴマクサ属 Alectra(黑蒴屬)
熱帯・亜熱帯に約40種

  ヒサウチソウ属 Bellardia
主として中南米に約50種

  オニク属 Boschniakia(草蓯蓉屬)
歐亞・北米に1種
    オニク(キムラタケ・ワニクジュヨウ) B. rossica(草蓯蓉・肉蓯蓉)
         
北海道・本州(中部以北)・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・ロシア産
         『週刊朝日百科 植物の世界』2-133・『朝日百科 世界の植物』1-242
         『中国本草図録』Ⅲ/1365 岩崎灌園『本草圖譜』(1828) 『(修訂) 中葯志』IV/350

  Brandisia(來江藤屬)
漢土南部・インドシナ・アッサムに11種
    B. hancei(來江藤・蜂糖罐)
兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南産 『全国中草葯匯編』上/881

  Buchnera(黑草屬)
世界の熱帯を中心に約60-140種
    B. cruciata(黑草)
福建・江西・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・インドシナ・ネパール・スマトラ産

  ミヤマガラガラ属 Castilleja(火焰草屬)
歐亞・米洲の各北部に約200種
    ミヤマガラガラ C. pallida(火焰草)
黒龍江・モンゴリア・アジア北部・北米北部産

  ゴマクサ属 Centranthera(胡麻草屬)
東&東南アジア・ヒマラヤ・濠洲に5-11種
    ゴマクサ C. cochinchinensis(C.chevalieri;胡麻草) 本州(関東以西)・四国・九州・琉球・
         
朝鮮・長江以南・インドシナ・アッサム・フィリピン・インドネシア産

  Christisonia(假野菰屬)
臺灣・漢土南部・ヒマラヤ・東南アジアに17-22種
    C. hookeri(C.sinensis;假野菰)
兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・シッキム産

  ホンオニク属 Cistanche(肉蓯蓉屬)
歐亞・北米に10種 『中薬志Ⅲ』pp.61-66
    C. ambigua(迷肉蓯蓉) 内蒙古産
    ホンオニク C. deserticola(肉蓯蓉,ニクショウヨウ,ròucōngróng,にくじゅよう)
      内蒙古・中央アジア産 『中国本草図録』Ⅸ/4335・『週刊朝日百科 植物の世界』2-133
      
『全國中草藥匯編 上』pp.357-358 『(修訂) 中葯志』IV/347-351
    C. salsa(鹽生肉蓯蓉,ニクショウヨウ,ròucōngróng,
にくじゅよう)
      内蒙古・陝甘・寧夏・新疆産 『全國中草藥匯編 上』p.358 『(修訂) 中葯志』IV/349
      
此の物、補して峻ならず。故に従容の号有り。従容は、知緩の貌なり(本草綱目)
      
生薬ニクジュヨウは C.salsa、C.deserticola 又は C.tubulosa の
        
肉質茎である。ただし開花したものでは 花序を除く(第十八改正日本薬局方)。
    C. sinensis(沙蓯蓉)
内蒙古・甘肅・寧夏産 『(修訂) 中葯志』IV/350
    C. tubulosa(管狀肉蓯蓉)
東アフリカ・西&中央アジア産

  ウスギヌソウ属 Cymbaria(大黃花屬)
歐亞に4種
    ウスギヌソウ C. daurica(達烏里芯苞)
河北・黒龍江・モンゴリア・シベリア・カザフスタン産
    C. mongolica(蒙古芯芭)
華北・陝甘・青海・内蒙古産

  コゴメグサ属 Euphrasia(小米草屬)

  Gleadovia(藨寄生屬)
四川・貴州・雲南・ヒマラヤに2-4種
    G. ruborum(藨寄生)
湖南・廣西・四川・雲南産

  ヤマウツボ属 Lathraea(齒鱗草屬)
歐亞に5-7種
    ヤマウツボ L. japonica(L.chinfushanica;齒鱗草・金佛山齒鱗草)
         
本州(宮城以南)・四国・九州・鬱陵島・陝甘・廣東・四川・貴州産

  Linderbergia(鐘萼草屬)
旧世界に約13-20種
    L. philippensis(鐘萼草)
兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・ヒマラヤ・インドシナ・フィリピン産

  Leptorhabdos(方莖草屬)
1種
    L. parviflora(方莖草)
甘肅・西ヒマラヤ・西&中央アジア・オマーン・カフカス産

  Mannagettaea(豆列當屬)
四川・貴州・雲南・西北・シベリア南部に2種
    M. labiata(豆列當)
四川産

  ママコナ属 Melampyrum(山蘿花)

  クチナシグサ属 Monochasma(鹿茸草屬)

  Nesogenes(洋馬齒)
タンザニア・マダガスカル等約8-9種

  マスノグサ属 Odontites(療齒草屬)
北アフリカ・歐洲・西&中央アジア・シベリア・中国北部に32-36種
    マスノグサ O. vulgaris(O.serotinus;療齒草・齒葉草)
         
遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北から歐洲に産 『全国中草葯匯編』下/377

  コゴメタツナミソウ属 Omphalothrix(臍草屬)
北東アジアに1種
    コゴメタツナミソウ O. longipes(臍草)

  ハマウツボ属 Orobanche(列當屬)

  シオガマギク属 Pedicularis(馬先蒿屬)

  キヨスミウツボ属 Phacellanthus(Tianmuia;黃筒花屬) 東アジアに1種
    キヨスミウツボ P. tubiflorus(黃筒花)
         『中国本草図録』Ⅶ/3337・『朝日百科 世界の植物』1-243
         
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・吉林・陝甘・浙江・兩湖・極東ロシア産

  コシオガマ属 Phtheirospermum(松蒿屬)
東アジアに1-5種
    コシオガマ P. japonicum(松蒿)
『全国中草葯匯編』下/364-365
         
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・漢土・極東ロシア産

  Pterygiella(翅莖草屬)
漢土・ミャンマー・タイに4-10種
    P. nigrescens(翅莖草)
雲南産
    P. tenuisecta(Phtheirospectumtenuisectum;細裂葉松蒿)
         
青海・四川・貴州・雲南・チベット産

  ジオウ属 Rehmania(地黃屬)


  オクエゾガラガラ属 Rhinanthus(鼻花屬)
歐亞・北米に約35-45種
    オクエゾガラガラ R. angustifolius(R.vernalis, R.sachalinensis, R.glaber;
         鼻花)
遼寧・吉林・黑龍江・シベリア・歐洲産

  ヒキヨモギ属 Siphonostegia(陰行草屬)
2-3種
    ヒキヨモギ S. chinensis(陰行草・劉寄奴)
北海道・本州・四国・九州・琉球・
         
朝鮮・臺灣・兩廣・兩湖・四川・貴州・雲南・華北・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシア産
         『中藥志』Ⅲ/85-91 『全國中草藥匯編 上』352-353 『(修訂) 中葯志』Ⅳ/39-42
    オオヒキヨモギ S. laeta(腺毛陰行草)
本州(関東以西)・四国・安徽・江西・福建・廣東・湖南産

  Sopubia(短冠草屬)
アジア・アフリカの熱帯を中心に約20-30種
    S. trifida(短冠草)
江西・湖南・兩廣・四川・貴州・雲南・熱帯アジアに産

  マスリマエガミ属 Striga(獨脚金屬)
旧世界・濠洲の熱帯・亜熱帯に約37-50種
    ヒメノマエガミ S. asiatica(獨脚金)
『全国中草葯匯編』上/633
         
臺灣・福建・江西・湖南・兩廣・四川・貴州・雲南からアジア・アフリカの熱帯に産
    マスリマエガミ S. masuria(大獨脚金) 『
全国中草葯匯編』下/47-48
         
臺灣・江蘇・福建・湖南・兩廣・四川・貴州・雲南・インドシナ・フィリピン・ネパール産

  Xylanche(丁座草屬)
1種
    シマオニク X. himalaica(Boschniakia himalaica, B.kawakamii;
         丁座草・千金墜・千斤墜・枇杷芋)
         塊茎を薬用 『全國中草藥匯編 上』p.120,『中国本草図録』Ⅷ/3810 
         
臺灣・陝甘・青海・湖北・四川・雲南・チベット産,『週刊朝日百科 植物の世界』2-132
   
 ハマウツボ属 Orobanche(列當 lièdāng 屬)には、約150種がある。

  O. alsatica(多色列當) 『全國中草藥匯編 上』p.334
  シマウツボ O. boninsimae
小笠原産 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020)
  ハマウツボ O. coerulescens(列當・裂馬嘴・獨根草;E.Broomrape)
         
『中国本草図録』Ⅳ/1849・『中国雑草原色図鑑』212
         『週刊朝日百科 植物の世界』2-131・『朝日百科 世界の植物』1-243
  O. cumana(歐亞列當) 歐洲ロシア~モンゴル・華北・東北産 『中国雑草原色図鑑』212
  ヤセウツボ O. minor
  O. pycnostachya(黃花列當・獨根草)
『中国本草図録』Ⅴ/2315・『中国雑草原色図鑑』213
         
華北・東北・陝西・山東・安徽産 『全國中草藥匯編 上』p.334
  O. yunnanensis(滇列當) 四川・貴州・雲南産 『中国本草図録』Ⅷ/3811 
   
 李時珍『本草綱目』(ca.1596)列當の釈名に、「栗當開宝。草■{竹冠に徒}開宝。花蓯蓉日華」と。
 岩崎灌園『本草圖譜』(1828)に、「列當(レツトウ) はまうつぼ」と。  
 北海道・本州・四国・九州・琉球・朝鮮・華北・東北・西北・四川・雲南・湖北・山東・臺灣・極東ロシア・シベリア・中央アジア・カフカス・東&中歐に分布。
 ヨモギ属 Artemisia(蒿屬)、特にカワラヨモギ A.capillaris(茵蔯蒿)の根に寄生する。
 中国では、全草を薬用にする。『全國中草藥匯編 上』pp.333-334


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